3/21/2010

シリコンバレーにきた大学生へのアドバイス


この間、日本からシリコンバレーにきた卒業間近の大学生に会う機会があった。(仮に、Aさんとしておく。)今後の社会人生活についてアドバイスが欲しい、ということなので、事前に以下の3つの宿題を出した上で会った。

1.「5年後」に、Aさんが理想の仕事をしていると仮定して、「誰が」、Aさんに「いくらの仕事を」依頼するか。ほかの人ではなく、Aさんに仕事を依頼する理由は?(「5年」は、3年でも、10年でも、好きなように変えていい。)
2.今の自分に、「失って惜しいもの」は存在するか?
3.私への質問


これらの質問の意図は何か。
1.キャリア形成をする上で、独立するにせよ、誰かの下で働くにせよ、自分の価値をわかっておくことが重要。とくに、シリコンバレーでは、自分が認めている価値と、他人がみた価値が合致している人間だけが仕事にありつける。

当然、日本の大学を出たばかりだと、はっきりいって価値は、ほぼないに等しい。ただ、日本社会は、多くが戦力になるまで1,2年の猶予と教育を与えてくれる。これをうまく使い3年先、5年先にどういう人間になるかをプランしていなければ、まず、日本でしか働けない人間になってしまう。

シリコンバレーでは、「お客様がだれか」、ということも非常に大切だ。シリコンバレーにいる多くの日本人は、「USにビジネスリレーションがほしい日本企業」にサービスを提供している。そして、その次が「日本市場に興味があるUS企業」、そしてもっとも少ないのが、「US (or 世界)に展開しているUS企業」(つまり、日本に関係ないかたちでサービスを提供する)である。これらはどれがいい、悪いの問題ではなく、自分の強みと自分が何をやりたいか、の問題である。ただし、社会人になる段階からこれを意識しておかないと、多くの場合、日本企業にしかサービス提供できなくなる。

具体例をだそう。僕自身は、大学卒業時に、数年先にMBAをとってUSで働くことを考え、最初にUSのソフトウェア企業の日本支社に入った。MBAのアドミッションや、US企業が僕のレジュメをみたときのことを考えてのことだ。レジュメをみるとき、アドミッションもUS企業も、会社名、ジョブタイトル、実際にやったこと、という順に内容をチェックしていく。そのとき、USのよく知られた企業名がぱっと目に入ってくると、(たとえロケーションがTokyoであっても)その仕事内容も容易に想像がつき、スムーズに面接に呼ばれやすくなる、ということを考えていた。

もちろん、本人が日本企業に対して将来サービス提供したい、と考えているならば、むしろ日本に根を下ろした企業に勤める方が近道かもしれない。また、外資系に勤めなければUSで働けない、ということはまったくない。ポイントは、もし本人が、たとえば「USに展開しているUS企業」に将来サービスを提供する人間になりたいと考えているのならば、最初からそういう意識でキャリアを築いていかないと、やりたいことは何年たってもできるようにならない、ということである。常に自分が将来お客様としたい企業を想定し、そこに価値を明確な形でAddできるように意識して仕事を選んでいく必要がある。将来US企業で日本以外の市場に対する価値提供をしたいと考えていながら日本企業を最初の一社として選ぶならば、そこから次につながる一手を意識して日々の仕事をしなければならない。





2.今の自分に、「失って惜しいもの」は存在するか?これは、機会費用の話だ。人間は、動物として、自分が今やっていることが意味がある、と肯定するようにできている。たとえば、「日本にいて僕は就職ランキング1位のB社につとめています」みたいなことが、意味があると思うようになる。それが、学生時代からやりたかったことなら、それでいいと思う。でも、仮に「僕は将来世界の市場相手に、SNSのスタートアップを立ち上げてサービスを展開したい」と学生時代思っていたとしたらどうだろう。この場合、日本企業ではたらくことは、その夢に近づくための一歩のはず。しかし、働きだして3年、5年たつと、実際に目の前にチャンスが転がり込んできても、多くの人はそれをとろうとしない。目の前のものが大切だと思うようになってしまっているからだ。

でも、本当に、目の前の仕事は絶対に守らねばならないものなのか?あなたが当初思っていた一生かけてやりたい仕事なのか、よく考えるべきだ。本人に能力があれば、その人間が手にする機会は、その人間が成長するにしたがって大きくなる。本人が能力が高ければ高いほど、基本的には「すでに覚えた仕事」よりも「次の新しいチャンス」の方が「失って惜しいもの」ということになるはず。本来能力さえあれば、手元にあるもので「失って惜しいもの」などほとんど存在しないはずなのだ。

Aさんは「今のところないです。」ということだった。学生の方は、その多くが漠然となりでも夢をもっている。「今、そう思っている気持ちを忘れないようにしていれば、常に成長できる」という話をした。





3.私への質問
メールで、この質問の下に、僕は自分のLinkedInのURLを張っておいた。そこで彼に期待したのは、どこまで僕のバックグラウンドに踏み込んで、質問できるか、ということだった。

ビジネスは、基本はひととひととのつながりで発生する。今の時代、インターネットを使えば、名前さえわかっていれば事前にその人間のことをかなり調べられる。ひとと会うときは、できるかぎり調べこんで、事前にどうやって相手の気持ちをつかむか、を考えて欲しい、という話をした。ひとは、基本的に自分に興味をもってくれる人に好意をもつ。「一期一会」というのは正しくて、一回一回の出会いを大切にすることができれば、それが将来よりおおきな出会いを自分にもたらしてくれると思う。(この部分は、自分もまだまだ試行錯誤しているところですが。)





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